第20回 日仏現代美術展
フランス・ソシエテ・ナショナル・デ・ボザール賞第1席受賞

富士山 忍野の初霜 1993年作 P80 パステル
審査を終えての批評(インタビュー=森本裕/翻訳=河野和子)フランソワ・バブレ氏談
私はこの絵に大きな感動を覚えました。先ず強い詩的な印象で観る者に語りかけてきます。つまり日本人のポエジーの象徴である富士山、次に作業の技術的完璧さ。富士山を囲む木々、道、雲、雪が細部に至るまで綿密に描かれていながら使われている色彩は非常に限定されており、それが成功しています。画家は価値感覚を駆使しています。素晴らしいテクニックのある芸術家と申し上げたい。
ソシエテ・ナショナル・デ・ボザールはフランスのサロンの中でも非常に歴史が古く、前世紀中葉の1860年に創立されました。これはまだ第2帝政期、ナポレオン3世下の時代。創立者は日本でも有名なドラクロワ、コロー、マネなど、途中一度中断しましたが1890年にシャヴァンヌ、ブーダン、シスレー、ドガなどによって再興され現在世界の美術界の頂点にたつサロンです。現在の会長が国際美術評論家として高名なフランソワ・バブレ氏です。
第20回展は応募作品1876点の中から入選、入賞作品148点と招待作品13点の161点がシャンゼリゼのロン・ポワン・モンテニューを会場として1994年6月14日〜23日パリ展。日本展は1994年7月23日〜翌年5月7日まで全国12主要都市で全161点の巡回展が開催された。